~どこの組?!~
〝日本のヤクザのリーダー〟がタイ人の仲間と共に他国への核物質密売の罪で起訴された。
というニュース。
ヤクザの親分がアメリカで捕まった?
日本のヤクザが核物質にまで手を出す時代になったのか?
外国語が喋れるヤクザの親分もいるのか?
などと驚きばかりだ。
起訴状によりますと、この男はエビサワ・タケシ被告で、核物質のサンプルを東南アジアのミャンマーからタイに持ち込んだとしています。
2020年、タイでアメリカ麻薬取締局の潜入捜査官がイランの軍関係者を装って接触すると、エビサワ被告はミャンマーの反政府勢力との核物質の取り引きを持ちかけ、その後、核物質のサンプルを示したということです。
このサンプルを当局が押収して調べたところ、核兵器開発にも利用できるプルトニウムなどが確認されたとしています。
核物質をミャンマーからタイに持ち込んだというのに何でアメリカニューヨークの連邦地裁が起訴できるのか?
ミャンマーにそんな核物質があるはずがない。
この記事を読んだだけではどんな事件なのかがつかめない。
今回の件は20年にタイのホテルで、武器密売人を装った米麻薬取締局(DEA)の覆面捜査官に対し、ミャンマーから持ち出した核物質のサンプルを見せたことに始まる。覆面捜査官はエビサワ被告に対し「イランの将軍が核兵器をつくるために興味を持っている」と語り、エビサワ被告は、50トンのウランとトリウムを685万ドル(約10億円)で売ると持ちかけたという。
このチャートを見ると概略はつかめる。
~チンケな詐欺師が大仕事!~
どこの組のヤクザなんだ?
日本の警察に照会すればすぐにわかるだろう。
ところが日本の警察のデータベースにこの男の登録はなかったという。
この男は日本の暴力団でも何でもなく、本名を海老澤剛といい、栃木県宇都宮市郊外の家賃が6~7万円の2DKアパートに住んでいたチンケな詐欺師なんだとか。
そんな詐欺師が何で武器密売人を装った捜査官と取引ができたのか?
50トンのウランは嘘だとしてもサンプル程度の核物質を手に入れることが出来たのはなぜか?
エビサワは過去、東南アジアで詐欺をしていた時、「ヤクザの組長」を名乗っていたという。
それを信じたタイのマフィアらとの交流が出来たそうだ。
しかし、タイ語が喋れるとは思えないし、スマホの翻訳アプリでも使ったのかもしれない。
ウソをついてタイの王室関係者やマフィアとの親交を持ち、麻薬や武器まで売る立場にのし上がったのだから大した奴だ。
アメリカのおとり捜査官によるおとり捜査もだが、エビサワの詐欺師の成り上がりストーリーもハリウッド映画のようだ。
それにしても大した度胸だ。
しかし、悪事を働けばハッピーエンドということにはならないのが常。
海老澤は、少量の核物質のサンプルを武器商人に渡して巨額な取引を持ちかけて後は核物質でないものを50トンほど用意して金だけだまし取ってトンヅラこくつもりだったのだろうが、相手はおとり捜査官というオチ。
そして終身刑もあり得るというから文字通り年貢の納め時となった。
~法廷を欺いて無罪?!~
この海老澤、裁判の罪状認否で無罪を主張しているというからまたまた驚きだ。
裁判でどんな嘘をついて法廷を欺けるか?
海老澤は、2022年4月、麻薬や武器を不法に売買しようとして、タイ人マフィアのソムホップ・シンハシリ被告(61)と共に逮捕起訴されており、この共犯がいるから適当な嘘では法廷をだますことはできないだろう。
だが、まんまと法廷をダマして無罪を勝ち取れば世界最高の詐欺師映画ができるのではないか?
核物質の入手経路もさることながら海老澤の今後の裁判の展開も興味深い。