・宮川泰介選手の会見が行われた
本日、日大アメフト部の宮川泰介選手が、関学大アメフト部のQBに対するラフプレーに関し、日本記者クラブで謝罪会見を行った。
監督やコーチの関与があったのかどうかについて注目が集まる中、宮川は、具体的にはっきりと監督、コーチからの指示により追い詰められて関学大QBに対するラフプレイを行ったことを認め謝罪した。
代理人弁護士から「二十歳になったばかりの学生、あえて顔を隠す必要はないが、将来のため、アップでの撮影はしないよう配慮願いたい。また、本人のことを当該プレーヤーと呼ぶ」などとの説明があった。しかし、会見中、宮川泰介選手の名前は字幕が消えることはなく、終始アップで撮影され放送された。
20歳であれば今でも成人であり、成人であるならば氏名や顔写真の公表など本人特定につながる報道が許されないわけではない。まもなく18歳以上が成人となることは必至であり、マスコミもそこまでの配慮をする必要はなかったのだろう。
・宮川選手の会見要旨
5月6日に、関学大との定期戦で日大アメフト部の宮川が関学大QBにラフプレーを行い負傷させた件について、宮川が陳述書を読む形で話した要旨が次の通り。
〇宮川は、定期戦前の練習からプレーが悪かったことで練習から外されてい て、内田監督から「宮川はやる気がるのかないのか分からない。そういう奴は試合に出さない。辞めてもいい。」と言われた。
〇日本代表として日本選抜に選ばれていた宮川は、監督から直接、「日本選抜に行っちゃだめだ。」と言われ、日本代表を辞退したが、理由は聞けなかった。監督に意見できる関係ではなかった。
〇定期戦前日の実践練習も外され、練習後、井上コーチから「監督にお前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、『相手のQBを1プレイ目で潰しに行ったらお前を使ってやる』と言われた。監督に、『QBを潰しに行くんで僕を使って下さい』と監督に言いに行け。」と言われた。
〇井上コーチから、「相手のQBと知り合いなのか?関学との定期戦がなくなってもいいだろ。相手のQBがけがをして秋の試合に出られなかったら得だろう。これは本当にやらなくてはいけない」と念を押された。
〇先輩からも、「井上コーチから『宮川はアラインはどこでもいいから1プレイ目にQBを潰せ。』と言っとけと言われた」と告げられ、相手を潰すくらいの気持ちではなく、本当にやらなければならないと思った。追い詰められて悩んだ。
〇定期戦当日、やらなければ後はないと思ったが、メンバー表に自分の名前はなかった。試合前に、井上コーチから「今行ってこい。」と言われ、監督に直接、「QBを潰しに行く使って下さい。」と言ったところ、監督から「やらなきゃ意味ないよ。」と言われた。
〇井上コーチに、監督に話したこと。監督から、「やらなきゃ意味ないよ。」と言われたことを伝え、「リードをしないでQBに突っ込みますよ。」と言って確認したところ、井上コーチから「思いっきり行ってこい。」と言われた。
〇試合前の整列の時に井上コーチが近付いて来て、「できないじゃすまされないぞ、分かってるな」と念を押された。
〇この直後は何も考えられず、相手のQBが怪我をして変わった替わったことも気づかなかった。普段の試合ではこんなことはない。
〇1プレイ目の反則の後、2プレイ目が終わり、コーチに呼ばれてさんざん「QBを潰せ。」と言われた。「サイドラインからキャリアに行け。」と言われたが、さんざんQBを潰せと言われていたので意味が分からなかった。再びボールを持っていないQBをタックルで倒し、2回目の反則を取られた。
〇3回目は正面から向かってきた相手選手を突いた行為で退場となり、退場となってテントで泣いていたところを井上コーチに見られた。
〇試合後のハドルの時、井上コーチが、「こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれればそれでいい。相手のことを考える必要はない。」と言われた。その後の全員のハドルでも井上コーチは、「周りから聞かれたら俺がやらせたんだと言え。」と言われた。
〇井上コーチから、「上級生が済まなく思って、『俺にもやらせてくれ。』と言ったぞ。おまえにもそれができるのか。お前のそういうところが足りないと言っているんだ。」と言われた。
〇私自身が監督やコーチの指示に従ったことが原因。
・報道陣の質問に対するの宮川選手の回答要旨
〇監督は、意見が言えない存在だった。
〇監督に対して僕がどうこう言うことでは無い。
〇監督コーチからのプレッシャーはあったが、自分で正常な判断をすればよかった。
〇反則をやった直後から大変なことをやったと思った。
〇自分の弱さ。監督は怖い存在だった。
〇コーチからは、「潰せ」という言葉だったと思うが、上級生から「秋の大会でQB[が怪我をすれば得だろう」と言われたので、怪我をさせろと捉えた。
〇アメフトは高校時代は楽しかったが、大学に入って厳しい環境の中で楽しくなくなった。もう続けるつもりはない。
〇監督と直接話をすることはなかったが、井上コーチは高校2年の時から監督だったので信頼していたのかもしれない。
〇同僚、先輩から同情の声が上がっていたと思う。
・宮川選手の今後の刑事処分
被害者側は、被害届を提出しています。今後の宮川選手の刑事処分はどうなるのでしょうか?通常であれば、監督やコーチそして宮川選手との共謀による傷害事件ということになります。しかし、会見の通り、宮川選手は、監督や井上コーチからの指示に逆らえば今後のアメフト人生がどうなるか分からないという恐怖心があったものと考えられ、断ることはできなったのです。とすれば犯行を教唆した監督やコーチには重たい処罰が与えられるかもしれませんが、宮川選手には情状酌量ということで、軽い処分になるものと思われます。