事件

樋田淳也容疑者が富田林署留置場から逃走!弁護士接見中?平尾龍磨との違い?

~樋田淳也は「被告」、平尾龍磨逃走犯との違いは?~

8月12日(日曜日)大阪府警富田林警察署の留置場で、弁護士と接見中だったはずの樋田淳也容疑者が逃走したというニュースが流れました。全国民が「またか!」と思ったでしょう。今年6月8日に、愛媛県今治市にある松山刑務所大井造船作業場から平尾龍磨受刑者が逃走し、23日後に広島市内で逮捕された事件があったばかりです。平尾龍磨受刑者は、既に有罪判決を受けて刑務所に服役中の身でしたから、松山刑務所の不祥事でした。

国民は、犯人が逃げたら全て警察の責任で、「警察何やってんだ!」と思われる方が多いと思いますが、樋田淳也の逃走と平尾龍磨の逃走は全く違うものなのです。平尾受刑者は、刑務所の中でも間もなく出所できる模範囚であったため、監視の目も厳しくない作業場で働いていたところを逃走しました。逃走した理由については、逮捕後に「刑務官からのいじめにあって脱走した」と話しています。

                           逮捕された平尾龍磨受刑者

樋田淳也は、報道では「容疑者」となっていましたが、強盗致傷罪で起訴された後、8日に強制性交未遂罪で再逮捕されていたのですから、強盗致傷罪では被告人となっています。また、今後も強制性交未遂罪などで起訴される可能性が高いわけですから、今後の裁判で懲役刑などの処分が決まり、刑務所に入らなければならなかった身分ですから、平尾龍磨とは全く違います。ですから樋田淳也は、今後、どんな凶悪な犯罪を犯してでも逃げ回る可能性が高いのです。

~加重逃走罪と単純逃走罪~

平尾龍磨受刑者は、単純逃走罪で指名手配をされた後に捕まりました。樋田淳也被告は、加重逃走罪で指名手配されています。この違いは何でしょうか?・刑法97条 裁判の執行により拘禁された既決または未決の者が逃走したときは1年以下の懲役に処する。~単純逃走罪

・刑法98条 前条に規定する者又は勾引上の執行を受けた者が拘禁場または拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して、逃走したときは、3月以上5年以下の懲役に処する。~加重逃走罪

と規定されており、ただ逃走を図っただけでは1年以下の懲役、しかし、「違法な行為をしてまで逃走したら罪を加重しますよ」というのが加重逃走罪で、短くても必ず3カ月以上、長くて5年以下の懲役に処せられるのです。加重逃走罪はかなり重たいのです。この点でも両者は罪状が全く違うのです。当然樋田純也被告は、他の罪でも懲役刑を宣告されるでしょうから、それに加重逃走罪の懲役刑も上乗せされるのです。

なぜ、樋田淳也被告が加重逃走罪なのかですが、報道もされている通り、拘束のための器具である面会室のアクリル板などを破壊しているからなのです。

~樋田淳也は凶悪犯人!~

名前  樋田 淳也(ひだ じゅんや)

生年月日 不詳   

年齢 30歳   

住居 不定   

職業 無職

身長 163㎝  

身体特徴 中肉、左腕に手術痕、左ふくらはぎに動物の刺青

逃走時の服装 黒色長袖ジャージ、黒色長袖シャツ、灰色スウェットパンツ 

 樋田被告は、窃盗や放火、強盗の他女性に刃物を突き付けて性的暴行を繰り返していた強姦魔という凶悪犯です。窃盗だけを繰り返していた平尾受刑者とは違い、富田林警察署周辺は十分な警戒が必要です。樋田被告がやってきた強姦(現在では、強制性交)は、女性の部屋に侵入して刃物を突きつけるという大胆かつ凶悪な犯行を繰り返しており、逃走中に凶器を見つけて金欲しさに民家に押し入って強盗を犯すくらいのことは平気でする輩だと考えられます。これだけでも大阪府警は大変な失態を演じたことになります。また、樋田被告は、加重逃走罪の刑も加重されるわけですから死に物狂いで逃走し続けるでしょう。

~樋田被告が逃走した時の状況は?何が問題だったのか?~

8月12日(日)午後7時30分頃から樋田被告は、留置場併設の面会場で、弁護士と面会を始めました。逮捕、勾留された場合、留置人となり、家族などとの面会も自由にはできず、面会する時などは必ず立会人が付きます。しかし、弁護士との面会、いわゆる接見は、被疑者の防御権を保護するために、面会や物の差し入れなど立会人をつける必要はなく、自由に行うことが法律で規定されているのです。

日曜日の警察署を想像してください。事務処理や窓口対応などはされない閉庁日ですから、事件や事故に対応する最低限の警察官だけが勤務しているのです。ですから警察署内は、来客もほとんどなく閑散としている状況です。しかし、弁護士が接見したいと申し出れば深夜でも接見させなければならないのです。しかも「立会」という監視無しにです。ネット上では「弁護士が逃がしたんじゃないか?」という話も多数出ていますが、弁護士の権利は、弁護士は悪いことはしないという性善説の上に成り立っていますので、これで良いのかという疑問は皆さんが抱かれるものと思います。

現実には、弁護士というのは裁判官や検事になれなかった者がほとんどで、個人経営している方も多く、経営能力がない弁護士事務所は火の車というのは少なくありません。実際に、弁護士が、顧客からの金を預かって横領するなどの事件も多数発生しており、弁護士会を除名される弁護士もいるのです。

ただ、今回は、刑事事件ですから、樋田被告を逃走させても弁護士の利益にはならないでしょうから、弁護士が逃がしたという可能性は極めて低いはずです。樋田被告が大金持ちだったり、樋田被告のバックにいる組織が金を出したというのならば、金に目がくらんで弁護士が・・・ということは考えられなくはないですが、まずありえないと断言できます。

弁護士との接見には時間の制限もありません。報道を見る限り、富田林署では、「接見が終了して弁護士が扉を開けて面会室から出れば、ブザーが鳴って、看守が被告人を留置場に連れて入る」というシステムだったようです。しかし、そのブザーの電池が切れていて、いつ接見が終了したのか署員には分からなかったらしいのです。これが一番の問題です。当然留置施設の点検や整備は常に行われて、留置人の人権確保、施設内の安全管理、留置人の逃走防止については万全を期す必要があるのは言うまでもないことです。署長まで責任を取らなければならない事件です。

次に問題なのは、「当直員と看守との連携ができていなかった」ことです。通常、閉庁日や夜間は、客が出入りできる所は1か所しかないはずで、弁護士が玄関から出て行った際には、当直勤務に就いていた警察官は確認しているはずです。日頃からブザーに頼って接見終了を確認していたためでしょうが、当直の警察官が弁護士が出て行ったことを看守に知らせていなかった点です。ブザー音と警察官の目の二重の警戒があればこんなことにはなっていなかったはずです。

最後に「面会室のアクリル板が素手で外れた」という点です。テレビや映画で、犯人が弁護士と接見するシーンがよく使われますが、その際、透明のアクリル板に、音声が伝わるように小さいなたくさんの穴があけられているアクリル板を見ることがよくあります。あれが簡単に外されたのです。こんなことがあってはならないのです。これも大きな問題点だと言えます。アクリル板が外されて被告はそこから脱出し、後は施錠されていないいくつかの扉を開けて警察署の外へ出て行ったのです。

外へ出れば、刑務所とは違い、囚人服を着ているわけではありませんし、面会の際には、留置人には手錠も腰縄も外されていますから、被告はそれほど隠れて逃走する必要もないわけです。大胆に逃走することができたのです。ただ留置場では、通常、逃走防止の観点から、留置人にはスリッパをはかせるのですが、樋田被告は、付近の駐車場にスリッパを放置しています。また、署内からスニーカーが1足なくなっているというのです。樋田被告の服装から、ジョギングを装って走れば誰れにも怪しまれずにある程度の時間・距離を逃走できたはずです。

 大阪府警と言えばこれまでも、証拠品の紛失や捜査情報漏洩、また取調べ時の被疑者への恫喝などたくさんの不祥事を起こしており、日本の都道府県警察の中で最も規律の低い警察なのがよく分かる出来事だったように思います。

~樋田被告の今後の行動は?~

逃走時、樋田被告には所持金はありません。まずは、飲み食いするお金を手に入れるために必死になるでしょう。富田林警察署の付近に逃走を手助けしてくれる知人がいれば、金銭目的の犯罪を犯すことはないでしょうが、それが無ければ、金銭目的の犯罪を犯すでしょう。すでにどこかのコンビニでパンや弁当を万引きして腹を満たしているかも知れません。樋田被告の犯歴から考えると、既に、どこか高齢者の家に入り込んで監禁などしているかもしれません。また、性欲を満たすために付近の女性宅に入り込んで強姦を行っている可能性だってあります。付近の住民は大変恐ろしい思いをしていることでしょう。

平尾受刑者の時も、島に逃げ込んだ平尾受刑者を捜索するために、警察官が一軒一軒尋ねて確認したのですが、田舎でもかなりの日数を費やし、とうとう、海を泳いで逃げられてしまいました。今度は大阪という都会の中です。一軒ずつ回って全ての世帯を確認することは不可能です。それだけに平尾受刑者の時とは全く違う状況ということがお分かりだと思います。

今は、夏休みです。子供たちの通学が始まるまでには捕まえて欲しいものです。

 

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