事件

結愛(ゆあ)ちゃん事件の検証報告書!原因は児童相談所の怠慢か厚生労働省?

~悲惨な「結愛ちゃん虐待死事件」の検証~

 ママ、もうパパとママにいわれなくてもしっかりと じぶんからきょうよりか もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがいゆるしてゆるしてください おねがいします ほんとうにもうおなじことしません ゆるして

今年3月2日、東京都目黒区のアパートで船戸結愛ちゃん(5歳)が、両親による虐待で死亡しました。死因は肺炎による肺血症で、継父の船戸雄大、実母の優里が警視庁に逮捕された事件。10月3日、厚生労働省の専門委員会が検証報告書をまとめました。その報告書では、関わった児童相談所が様々な「虐待疑い」の情報をつかみながら的確な判断ができず、その結果、結愛ちゃんの命を救えなかったと結論付けました。

~これまでの悲惨な虐待死事件~

 2006年10月、京都府長岡京市で、顔にあざを作り、体重が3歳児平均の半分ほどの7キロしかなく、運ばれた病院で低栄養による餓死で亡くなった佐々木拓夢ちゃん(3歳)

 2014年1月東京都葛飾区のマンションで、全身に無数の暴行の痕を残し、意識不明の状態で発見されて病院に運ばれた後に亡くなった坂本愛羅ちゃん(2歳)

 2014年5月、神奈川県厚木市の児童相談所から「中学に入るはずの男の子が学校に来ない」との通報により、自宅を確認すると、重度の栄養失調とみられる、生きていれば13歳になる子供の白骨死体が大量のごみの中から発見された斎藤理玖君(5歳)

度々繰り返されてきた児童虐待事件が報道されるたびに児童相談所の怠慢がクローズアップされてきました。その度に、厚労省や児童相談所は、「二度とこのようなことが起こらないように・・・」と繰り返してきました。

~「結愛ちゃん虐待死事件」の検証報告書~

結愛ちゃん虐待死事件に関する、厚生労働省専門委員会の検証報告書では…

①父親からの虐待で一時保護中の2017年5月に、香川県の児童相談所や関係機関が会議を開催。保護者の同意なしで施設入所させるための申し立てを医療機関などから求められた。だが、同児相は、弁護士らに相談せず、あざの原因や傷ができた時期が特定できないなどとして申し立てを見送った。

②一時保護解除後も、複数回あざが見つかり、結愛ちゃん自身も「家に帰りたくない」と訴えた。だが、同児相は、リスク評価に反映させず、客観的な記録(リスクアセスメントシート)も作成しなかった。記録作成は、国が虐待対応の手引きで児相に求めている。

③同児相が直接の加害者だった父親に指導しなかったことを問題視。母への家庭内暴力の可能性も把握しながら、家族関係全体を踏まえたリスク評価ができていなかったとした。

④転居を受けた児相間の引継ぎでは、香川県の児相が、東京都品川区児童相談所に送った書類の中にけがの写真など客観的な資料がなく、「要点が不明確で高騰の補足説明も十分ではなかった」と指摘。対面で行なわなかったため、「リスクの程度の判断にずれが生じた」とした。

⑤品川児相について、父親が失業中で虐待リスクが高まることなどを考慮すれば、母親による結愛ちゃんとの面会拒否でリスク評価を見直すべきだったのに、見直されなかったのは問題だったと結論付けた。 

と指摘しました。

~私なりの解釈~

①の「弁護士に相談しなかった点」について、県の担当者は、「これまでの経験などから総合的に判断して、審判で認められる可能性が低いと思った。今後市に相談するという考えには至らなかった。」と申し立てています。確かに児相は、一時保護する場合に、児童本人と保護者の意思を確認して、保護することに対する同意が得られ無ければ施設での一時保護などは滅多にしません。保護者の同意なしで施設に入所させるなどということは、よっぽどの緊迫性がなければ行いません。ただ、この様な一時保護に関して「人権侵害だ」というバカな組織もあるのは事実で、児童相談所もなかなか踏み切れないのが実態なのです。

例えば、近所に野良犬がたくさん集まるようになったから保健所に通報しても、保健所は「動物愛護団体からの批判」を恐れて手出しができないのと同じです。

②の「結愛ちゃん自身も『家に帰りたくない』と訴えたが、そのまま一時保護を解除してしまった」という点に関しては、正に保護者の同意が得られなかったのではないかと考えられます。

③の「児相が直接の加害者だった父親に指導しなかった」点についてですが、児相職員は、基本的に事務方で女性職員が多いのです。父親が暴力団員だったり、凶暴な人間だったたら事務方の人間は避けたがるはずです。母親から聴取しているからということで終わらせてしまっていたと考えられます。

④の「引継ぎがうまくいっていなかった」ということに関しては、単純に香川県の児相が「『緊急性、切迫性がある事案』という認識がなかった」ということだと考えられます。そうでなければ、文書だけで引継ぎを行い「写真などの資料も添付しなかった」ということはあり得ないでしょう。もちろん香川県の児相が重大案件と考えていたならば、職員を品川児相に派遣してでも引継ぎを行っていたはずです。

⑤の「品川児相が父親にも面会せず、母親からの面会を拒否されて面会できていなかった」ということですが、これは、③で説明したとおりですが、面会を拒否されているのに強引に自宅に押し掛けてでも面会しようとする職員は児相にはなかなかいないと考えられます。また、重要案件と考えられなかったことも要因と考えられます。

以上私なりの児童相談所と関わってきた経験からの考え方ですが、間違っている部分があるかも知れませんが、それほどかけ離れているということはないと考えます。

~怠慢は、厚生労働省!~

この報告書は、厚生労働省がまとめたものであることが、まずもって問題だと考えます。やはり、第三者的な立場の人間による検証が必要だったと思います。この様な報告書が発表されても、厚生労働省が全国の児相に指示文書を送付して、指導するだけなのです。これまでと何も変わらないと考えます。

児童相談所の職員には、医師や児童心理学を学んだ児童心理士や児童福祉士がいますが、他は一般の行政職で、何年か経てば異動によって部署が変わっていく人たちなのです。医師も含めてこの様な方達は、警察官や自衛隊員のような使命感を持った方々ではないのです。

厚生労働省には、マトリと呼ばれる麻薬取締官がいます。麻薬取締官は、捜査権を持ち、全国の薬物事件を取り締まる専門家です。児童相談所という組織を壊して、捜査権を持った児童虐待取締官を設置するべきです。

使命感を持ち、虐待が疑われる家庭の周辺で聞き込みや張り込みを行ったり、近辺のマンションの一室を借りて視察を行ったりという捜査権限を持った組織。児童を保護するために必要な情報取集と強制保護そして、加害者の逮捕ができるような、一つの組織で児童保護のための行為が全てできるような組織を作るべきです。今のままのお役所仕事的な児童保護体制では同種事件は後を絶たないと考えられます。

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