政治

公務員副業解禁はどこまで許可される?なぜ日本経済が回復するのか!

~アベノミクス効果による一般国民への好影響は感じられない~

バブルが崩壊して以来、日本経済が低迷して30年以上が経過しました。安倍首相が進めるアベノミクスも「デフレからの脱却」「富の拡大」などとほとんど掛け声だけで、株価の高騰による一般国民への好影響は全く感じられる状況にありませんし、少子高齢化にも歯止めがかからず、今後、日本経済が回復するという展望は描きようがありません。

国家は1000兆円の借金を抱えているという状況から、何とか、国民の所得を底上げして国の税収を増やす必要があります。消費増税だけでは焼け石に水です。どのような方法で国民の所得を増やしていくのかという点においては、正直、アベノミクスでは何をしているのか見えてこないところです。高齢化によって、定年延長させて高齢者に働かせようとすることによって、自動的に若者の就職先が減少してくるのは火を見るより明らかです。

~公務員の低所得の影響で日本経済も低迷~

その中で、国が進めているのが国家公務員の副業の解禁があります。これまで国家公務員法、地方公務員法で公務員の副業が禁止されてきました。その理由は、公務員は国家国民に奉仕する義務を負いながら、私腹を肥やすために公務の裏で収入を得るような活動をすることが国家国民ための業務を遂行できるのかということからでしょう。

日本経済の発展とともに、国家国民のために働く公務員は、法律上、副業の禁止も含め、政治活動もできないなど、一般社会人とは区別されて色々な束縛を受けてきました。その対価として、給与の上でも一般社会人よりも手厚く保護されてきたのです。

しかし、日本経済が低迷するにしたがって「公務員の給料が高すぎる」という声が高まるとともに、不景気による地方自治体の財政困窮などから公務員の給与がどんどん低下してきました。これは退職金にも影響しています。公務員の収入が減ったことも日本経済の低迷の一端を担っていることは間違いありません。

~公務員を希望する人は減少~

以前は、公務員は安定性のある職業ということで人気の高い職業の一つでしたが、国民の権利意識の高まりとともに、公務員に対するクレームなどによる攻撃が増加し、現在では「商売人よりも頭を下げる職業」の一つになっているのです。それなのに収入も良くないとなれば公務員として働くことを希望する人は減り、公務員の質が低下している状況にあります。警察官などは全国的にも志願者が減少し、受験競争率の高かった昭和の時代に比べて今では競争率は極端に低下しているのです。

 

その中で、苦肉の策として出てきたのが「公務員の副業解禁」です。これまで投資や資産運用などは副業とはみなされず、これを行ってきた公務員もいましたが、この様なことができる人は生活に余裕がある人だけですから、自宅を建築したり、子供の大学学費などで苦労してきた人たちにはなかなか手が出せるものではありませんでした。

~公務員の副業は将来的には自由になる?~

そこで、安倍政権が最重要法案に位置付ける「働き方関連改革法案」が衆議院で可決通過しました。この法案には、副業、兼業の促進も盛り込まれ、公務員の副業を正式に認める調整に入りました。しかし、これにも規制があります。NPO法人や非政府組織(NGO)などの「公益的活動」を目的とする活動だけが解禁されるというのです。

 

NPOと言えば営利目的の組織ではありませんし、NGOだって同様です。これで、公務員に副業して収入を得て日本経済に貢献しなさいと言っても誰がこんなことをするでしょうか?しかし、これは多分、最初っから規制なしで公務員の副業を認めるような法案を提出すれば、野党の反対にあって叩かれ、これに呼応してマスコミも反対論を報道し、国民の理解が得られなくなるからだと思います。

まずは、「公益的活動」から始めよ!ということなのでしょう。そして、これが定着すれば、公務員としての信用を失墜するようなことがなければある程度の範囲で自由な副業選択ができるようになるはずです。国家公務員の副業が解禁されれば次は地方公務員にも下りてきます。

~公務員の副業は広まらない~

日本全国の公務員がある程度自由に副業ができるようになれば、所得の足りない部分を補うことができるのですが、平日午前8時ころから夕方5時ころまで勤務して、残業もゼロではありません。この様な状況の中で夜間の副業はとてもつらいはずですから、副業ができる時間は土日などと限られると思います。しかし、土日を働けば休養を取る間もなく、平日の勤務に悪影響を及ぼす可能性が高いはずです。

エイチ・アイ・エスやユニ・チャーム、新生銀行などが副業解禁を発表しましたが、報道では、副業について、民間企業のほとんどが反対している状況ですから民間企業が副業を解禁せずに公務員だけ解禁してもなかなか副業は広まらないでしょうから、公務員の自由な副業解禁というのは実際には難しい気がします。

 

現在、日本には、300万人以上の国家・地方公務員がいます。公務員の給与水準を高めれば、昭和の時代の様に公務員が購買し、外食をするなどの交際も活発化します。そうなれば、飲食業や風俗業も収入が増え、民間所得も高まるはずです。副業を解禁してもなかなか公務員の所得を増やすことは困難でしょうし、民間企業が副業に反対している現状からすれば、副業の解禁によって日本経済をよくするというのは難しいでしょう。

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