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柔道全日本選手権の結果で明らか!現在はルール改正でおかしい?

  • 全日本柔道選手権

平成30年全日本柔道選手権大会が終わりました。昭和23年から始まったこの大会、原沢久喜(日本中央競馬会)が王子谷剛志(旭化成)をゴールデンスコア方式の延長戦で破り、王者となりました。

ゴールデンスコア方式というのは、いずれかが技あり以上を取るか指導を受けて相手よりも指導の数が多くなった時点で勝者を決するというルールで、長時間にわたる戦いの結果、王子谷が体力的にバテてしまい、積極的姿勢に欠けるということで指導を受け、原沢が優勝しました。

「もはや、これは柔道ではない。」と思いました。柔道を知らない方は、「持久力の勝負」と思われるかもしれませんが、長距離走などの持久力とは全く異なる競技です。「瞬発力の連続」だと考えていただければ分かりやすいと思います。この決勝戦は、柔道を模した体力勝負であって、少なくともこのどちらが柔道が強いかを決するものではなく、どちらが体力があるかという勝負であったと思っています。

  • 今のルールでは柔よく剛を制すことはできない

柔道は、昔から「柔よく剛を制す」と言われ、体の小さなものが大きな者を投げ飛ばすことができる武術として加納治五郎先生が編み出したものです。

加納治五郎先生は東大を出た秀才でありましたが、体が小さく虚弱体質でいじめられる日々を送った経験もありながら、色々な柔術を学び、その良いとこ取りをして「柔道」を作ったのです。

小さいものが大きいものを投げる醍醐味こそが柔道の神髄であります。しかし、昨今の柔道は度重なるルール改変からそうなっていないのです。

今では、沢山の階級に別れて試合が行われていますが、昭和50年代初めまでは、重量級と軽量級しかありませんでした。例えば重量級が70キロ以上だとしたら、71キロの選手と120キロの選手が戦っていたのです。

71キロの選手がどうやって勝つかと言えば、組み合ったら勝てない。組み合うまでに、もしくは組み合う振りをして相手の足を取るまたは相手の足を引っかけるなどの技で相手に尻もちをつかせるまたは転ばせるなどして勝っていたのです。

しかし。、昨今では組み合わなければ指導を受けるし、足を取れば反則となるのです。

このルールでは小さいものが大きいものを倒すことなど到底できないのですからもはや柔道ではないとさえ思います。いうなれば「競技柔道」と名前を変えるべきだと思います。

  • 柔道は体力の勝負ではなく技の勝負

全日本柔道選手権は、体重制限のない、日本ではトップの大会です。かつて山下泰弘のような日本の名だたる柔道選手が栄冠をつかみ、世界からも注目される大会でした。

今回の原沢と王子谷の決勝戦は、既定の4分が過ぎても決着がつかなかったため、ゴールデンスコア方式という、どちらかが技あり以上若しくは指導を受けるまで何時間も続くというルールです。

以前は、既定の時間内に決着がつかなければ何分間かの延長戦を行い、それでも決着がつかない場合は、「判定」ということで主審1名、副審2名による旗による判定で、赤白の旗の数が多いほうが勝者となっていました。

時間が限られていますからその間、選手は必死で戦うのです。必死で戦った後に審判がどちらが優勢であったか、技のかけ数、かけ方、姿勢、態度などを総合的に判断し、柔道選手としてどちらが優れていたかを決するのです。

ゴールデンスコア方式が決勝戦だけならばよいですが、途中でゴールデンスコア方式で長時間戦った選手がいたらどうでしょう?試合でバテて次の試合に全力で臨めるとは思いません。それも時の運ということなのかもしれませんが、そんなことで日本一の柔道選手を決めてはいけません。

  •  ルールを戻すべき

昨今の柔道のルールは、「技あり」以上しかありません。以前は「有効」以上または「効果」というものまでありました。「効果」というのはほとんど主観的要素が強いので、「有効」以上というルールが柔道には適していると思います。

また、以前は技ありを2つ取れば「合わせ技1本」ということで勝敗が決まっていましたが、今では「技あり」を何本とっても「技あり」でしかないのです。

選手は次の試合を考えてできるだけ体力を消耗しないようにしようと頑張るのですが「技あり」を3本、4本と取っても試合が終わらないのです。技ありを3本取ればそれはもう実力差があることは明白で、ただ投げられた側が背中から落ちないように上手に投げられているということだけなのです。

柔道は、日本で、加納治五郎先生が作った武術であり、競技スポーツではないとうことを考えて、これ以上、競技化しないように望みます。

 

 

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