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大阪府警保護後に酔っ払い男性がパトカー内で死亡!死因は肺うっ血?

~酔っ払いをパトカー内に押し込める動画を公開~

大阪府警は21日「泥酔した男性会社員(豊中市居住、33歳)が、保護されて、警察署まで搬送途中のパトカー内で死亡したと発表しました。22日、司法解剖の結果、死因は「肺うっ血」であったと明らかにしました。同署は、警察官の保護の方法に問題がなかったか調べているそうです。

26日の羽鳥慎一のモーニングショーで、警察官が死亡男性を保護してパトカー内に押し込める状況を、当時現場に居合わせた男性が撮影した動画を公開し、男性が顔を隠してインタビューを受ける映像が流されていました。

その動画の内容は、泥酔(酔っぱらって手が付けられない状態)の男性を、警察官が5人位で手足を押さえつけ、内1名の警察官が泥酔男性の後方から首に手を回し、力づくでパトカー内に押し込む状況が映っていました。

~酔っ払いを保護する必要があるのか?~

この泥酔男は、20日午後10時35分頃、大阪市都島区でタクシー運転手から「乗客が絡んでくる」との通報があり、警察官が駆け付けたところ、泥酔男性が警察官に殴りかかろうとしたため、泥酔者として保護し、パトカーで警察署に搬送しようとしたのです。しかし、泥酔男がパトカーに乗るのを拒み、通行人に罵声を浴びせるなどしたことから、警察官が強制力を使ってパトカー内に押し込んだというものです。

しかし、泥酔者は、パトカー内でも暴れ続けたため、警察官2名が後部席で、泥酔者を制止するために車内で押さえつけていたところ、容体が急変したため、病院に搬送したところ、同日午後11時45分頃、死亡したというのです。

保護とは何かについて、一般的には知られていないでしょう。警察官は泥酔者を発見した場合に保護する必要があるのでしょうか?その際、強制力を使ってもいいものなのでしょうか?警察官職務執行法第3条には次のように規定されています。

 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号の1に該当することが明らかであり、且つ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、とりあえず警察署、病院、精神病者収容施設、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。

   1 精神錯乱又は泥酔者のため、自己又は他人の生命又は財産に危害を及ぼす虞のある者

   2 迷い子、病人、負傷者で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者(本人がこれを拒んだ場合を除く。)

今回の様に、酷く酔っぱらい、タクシー運転手に絡んできたり、警察官に殴りかかろうとするくらいの状況であれば、放置することはできないでしょう。そのままにしておけば、転倒したり、交通事故に遭ったりする危険性が強くあります。警察官としては、泥酔者のために保護しなければなりません。暴れるからといって関わりたくないと、警察官が放置すればこれは不作為であり、法律違反となるのです。警察官は嫌でも保護しなければならないのです。

酔っ払いに絡まれた経験があれば分かると思いますが、この泥酔男を放置しておけば、通行人に絡んだりして、喧嘩になったりすることもあるでしょう。泥酔している男は殴られて大怪我を負うことも考えられます。ですから、あくまでも泥酔男のために警察官が法律に則って保護したということなのです。

~保護するために強制力が必要なのか?~

2号にある、迷い後や病人などは、本人が拒んだ場合、警察官は無理やり保護することはできませんが、精神錯乱や泥酔保護の場合は、強制的に保護できます。行政法上、これを「即時強制」と言います。即時強制とは、簡単に言えば…

義務もない者に対して、行政機関が直ちに国民の身体または財産に実力を加えて行政上必要な状態を実現することで、義務を命じる余裕のない場合や義務を命じることによっては目的を達することができない場合に、法律に則って行うことができるとされています。ただし、限界なく強制力が行使できるというものではなく、基本的人権を保護するために必要最小限度にとどめなければならないとされています。

羽鳥のモーニングショーでは、警察官が4~5人がかりで泥酔男を車に押し込める行為について「ここまでやるのか」「説得すればいいではないか」という批判をする馬鹿なコメンテーターもいましたが、泥酔状態で正常な判断ができず、説得できないと判断したから保護しているわけです。

30歳代の男が大暴れした場合、物理的に1人2人でこれを押さえつけて車内に押し込めることは不可能です。最低でも4人は必要です。その際には、泥酔男が自由に身動きが取れない状態にして、パトカーの車体で頭を打ったりしないように厳重に拘束して乗せなければならないのですから、警察官も大変です。

後部席に乗せられた泥酔男がどのような形で乗車していたのかは定かでありません。おとなしく座席に腰かけてくれていたのであればともかく、パトカーの中で大暴れすれば当然制圧しなければならないでしょう。窓ガラスが割れたり、運転手に危害が及んで交通事故になったりしてはいけませんから、押さえつける警察官も慎重に気を使いながら押さえつけるのはずです。

~警察官を攻めるのは間違い!~

泥酔男は、泥酔して通常の健康状態ではありません。泥酔男を暴れさせないために強い圧迫を加えたりすれば、健常者とは違って、負傷や内臓疾患を引き起こしやすくなっている可能性はあります。しかし、医学的知見を持ち合わせていない警察官がどこを押さえれば危険が生じるかなどと言うことは分かるはずもなく、とりあえず制止することが目的なのですから、抑えどころが悪くて相手を負傷させることもあり得ると思います。

これを「警察官がひどい!」「警察官が無茶苦茶したから死んだ!」というのは簡単ですが、誰がやっても同じ結果になったのではないかと思います。「もっと優しくしてやれば」と思う人がいるかも知れませんが、それができないくらいに泥酔男が暴れていたのですから警察官を攻めるのはかわいそうすぎます。元は、泥酔するまで酒を飲んだ泥酔男の責任もあるのです。

羽鳥のモーニングショーで、コメンテーターとして出演していた吉永みち子というおばさんは「泥酔男が暴れてはいない。言い聞かせればいいのに」みたいな、のん気なことを言っていましたが、動画では警察官が押さえつけているから暴れられない状況だっただけで、警察官が手を離せばまた暴れだすことは分かり切っているのです。

また、現場に駆け付けた警察官は、初めは普通に声をかけるはずです。しかし、説得してもらちがあかないと判断したから保護したのでしょう。そんなことも分からない人間が、多種多様な事件について、なんでも分かっているというような態度で、全国民が見ている公共の電波を使ってコメントすることは止めていただきたいものです。

現実に泥酔者を保護した場合に負傷する警察官だっているそうです。しかし、相手が泥酔者であるから、公務執行妨害罪で捕まえることもできないそうです。「ケガしたお前が悪い」と上司からは責められ、職務執行中に、警察官がいかにケガを負わないようにするか、殉職しないようにするかについて説教されるそうです。

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