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千葉県印西市・警察官が業務上過失致死容疑!書類送検はかわいそう?

~警察官を業務上過失致死罪で書類送検~

 去年6月、千葉県印西市で酒に酔った男性が警察に保護されたあと、容体を急変させ、2週間後に死亡していたことがわかりました。当時、男性が舌をかまないよう口にタオルが入れられていたのに、対応した警察官3人が十分な監視を怠って窒息させたとして業務上過失致死の疑いで書類送検されました。書類送検されたのは千葉県の印西警察署に所属する59歳の警部補と38歳と28歳の巡査長2人を合わせて3人です。

と報道されました。

この件は、昨年6月印西市内でバーベキューをしていた仲間が「男性が酔って手が付けられない」と通報し、駆け付けた警察官が当時24歳の男性を保護しました。

男性は「舌を噛んで死ぬ」と叫んでいたため、バーベキューをしていた男性の同僚がそれを阻止する目的でタオルを男性の口の中に押し込みました。警察官3人は、そのまま男性をパトカーで20分かけて警察署まで運びましたが、到着した時には男性は意識がない状態だったということです。その後、病院で治療を受けていた男性は2週間後に死亡したということです。

記事から分かるのは「男性は窒息により死亡した」ということです。窒息したことにより何らかの疾患となり、それが原因で死亡したということでしょう。

~警察官の過失とは?~

警察官が業務上過失致死罪に問われたのですが、警察官の過失とは何なのでしょうか?タオルを口に入れられた状態で男性を20分間かけて警察署に搬送する間、男性が苦しんでいないかどうか、生存しているかどうか確認しなかったということなのでしょう。

一つ疑問は、タオルを男性が自力で取り出すことができなかったのでしょうか?手錠をかけられたという報道はありませんから、タオルを押し込んでから、同僚が手足を押さえつけ、更に警察官が保護を開始してからも警察官が手足を押さえつけていたのでしょうか?

男性はもがき苦しんだと思うのですが、警察官からすれば「タオルを外せば舌を噛んで自殺を図ってはいけない。」と考えたのでしょう。また、警察官はもがき苦しんでいる男性を見て、「また暴れている」と思っただけかもしれません。後になって考えれば、「なぜ、タオルを外して意識や状態を確認しなかったのか?」という疑問が湧いてきますが、現場で暴れる男性を落ち着かせ、「自殺を絶対にさせてはならない」「何とか警察署まで運び保護室に入れよう」と焦る警察官が、冷静に男性の安全を考えながら運ぶことはそうたやすいことではないと思います。それを過失とするのは酷なような気がします。

~同様の事件はたびたび起きている!~

「警察官もプロですからそこまでの観察力が求められるのは当然です。」というのは簡単ですが、この様な事件は度々起こっているのが現実です。この1か月間を見ても全国で報道されているだけでも4件あります。

 10月20日、大阪府警都島署で、タクシー運転手から「乗客が絡んでくる」との通報を受けた警察官が現場に赴くと、乗客の男性が警察官に殴りかかるなどしたため、泥酔者として保護しパトカーに乗せましたがパトカー内でも暴れたため、警察官2人が両手両足をおさえていたところ、意識を失うなど容体が急変、病院に搬送しましたが死亡しました。

 10月20日、大阪府警南署で、繁華街の宗右衛門町で酔って寝ていた男性に呼びかけましたが反応がなかったため、泥酔者として保護し、同署の保護室でいびきをかきながら寝ていた男性の様子がおかしいことに気づき救急車で病院に搬送しましたが死亡が確認されました。

 10月30日、埼玉県警川越署で、西武新宿線の駅でバッグをひったくった容疑者とみられる男性を職務質問しようとした際、男性が大声で叫び暴れたため、警察官5人がかりで制圧しました。その後、男性がおとなしくなり反応がなくなったため救急車で搬送しましたが、病院で死亡が確認されました。死因は不明で目立った外傷はないということです。

 11月13日未明、熊本市内のホテルから「客が大声で叫びながら暴れている」との通報を受け、警察官が現場で男性を手錠などをかけ制圧し保護しましたが、男性は急に力が抜けて意識がなくなり搬送先の病院で死亡が確認されました。これは薬物使用が原因とみられます。

これはあくまでも報道されたものだけです。全て死亡したから報道されていますが、死亡に至らなくても、容体急変で病院搬送されたり、負傷を負ったりした方もいると思います。それくらいでは報道はされません。ですから、警察官に保護された後に死亡した人や負傷した人、病気になった人はたくさんいるということなのです。

~保護しなければならない警察官は大変!~

保護というのは、あくまでも保護される者のためになされるものなのです。保護されるべき者がいた場合に、このまま保護しなければ本人がケガをしないかとか、安全でいられるだろうかとか。または、周囲の者や他人に危害を及ぼさないだろうかということを瞬時に判断して、適当な保護者がいなければ警察官は保護しなければならないのです。

これは警察官職執行法に定められていますからこれを面倒くさいからと言って放棄することはできないのです。そう考えれば警察官は大変です。街中で大暴れしている奴や、酔っぱらって大げんかしている奴など何とか押さえつけてでも保護しなければならないのです。

また、保護される側にもいろいろ事情があります。泥酔を原因に体調不良となっている人。持病を持っている人。薬物で体調不良となっている人など様々です。現場で、警察官がそれを瞬時に見抜くことなど不可能でしょう。救急隊員や救急救命士などがその場にいれば医学的な判断はできるのでしょうが・・・。

しかし、人が倒れているという通報を受けた救急隊は現場に行き、その者が泥酔者であることが分かればすぐに警察に通報し、警察に引き継ぎます。

そこで、警察が医学的な判断はできませんから保護して警察署へ連れて帰るしかないのです。大人しい酔っ払いであればその状態をじっくり観察して、意識があるかないか?病状はないか?などの確認はできますが、暴れる酔っ払いを観察してそれを判断するのはとても困難な気がします。

今回の3人の警察官には業務上過失致死罪という前科が付き、警察内部での処分もあるでしょう。今後、警察官が酔っ払いの通報があっても「現場に行きたくない」とか、現場に行っても保護に加担すれば「何か起きた時には自分の責任になる」と考えて傍観者になる警察官が増えてこないかが心配です。

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