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イヤホン装着し自転車で事故!自転車運転のルールや道路交通法などは?

~自転車で事故を起こしても救護義務がある~

 今年5月、東京都大田区で主婦が車にはねられた事故について、27日、警視庁は、イヤホンをつけて近くを走っていた自転車が原因だったとし、自転車に乗っていた東京都大田区の医師の男(30歳)を重過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で東京地検に書類送検した

と報じられました。この事故は…

 5月11日午前8時20分ころ、イヤホンをつけたまま自転車を運転し、大田区南蒲田の五差路交差点で乗用車と出合い頭に接触。急ハンドルを切った車が、近くにいた自転車の主婦(44歳)をはねて重傷を負わせた

というもので、事故後に周囲の防犯カメラを確認したら、事故後、壊れた自転車からタクシーに乗り換えて現場から立ち去る医師の姿が映っていたというのです。女性は、事故で頭を強く打って意識不明となり、現在は意識を取り戻しているがリハビリ治療中ということです。

自転車で事故を起こしても道路交通法上の救護義務があり、それをせずに立ち去れば、ひき逃げ事件になるということです。

~自転車も標識表示には従わなければならない~

医師が走ってきた交差点手前には「一時停止」の標識・表示があったということです。医師はイヤホンで音楽を聴いていたとうことですが、イヤホンをしていること自体はなんら法律には違反しませんし、イヤホンしていることで周囲の状況が判断できなくなることはありませんから問題ではないはずなのです。

ただ、自転車も車両ですから一時停止場所では一時停止しなければならないのです。

一時停止場所で自転車が一時停止しなかったことが問題なのです。皆さんは、自転車を運転していて一時停止場所で一時停止していますか?自転車も道路交通法上「車両」とされていますから道路標識・表示に従わなければなりません。

でも実際には、自転車に乗っている人が一旦停止場所で一旦停止することを見ることはほとんどありません。自動車を運転する人から見れば、その危険性についてよく分かっていると思います。

~何が「重過失」なのか?~

医師にかけれらた容疑は、重過失傷害と道路交通法違反です。道路交通法違反についてはひき逃げである救護義務違反ということです。それでは何をもって、重過失と特定したのでしょうか?

報道では…

 医師がイヤホンをしていたため車の音にも気づかなかったとみられる。警視庁は、医師がイヤホンをつけたまま交差点に入ったことで事故が起きたと判断した。

としています。

過失致死傷罪については、

刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

と規定されています。

 一時停止場所で標識や表示を見落として一時停止しなかったことは単純に過失だと思われます。しかし、一時停止場所と分かっていながら故意に停止せずに事故を惹起した場合は、重過失になるのではないかと考えられます。
イヤホンをして自転車を運転することが違反になると考えている人がいますが違反ではありません。イヤホンをして音楽を聴いていたって、一旦停止場所で停止し、左右を確認さえすれば周囲の音が聞こえなくても事故を起こすことはありませんから、イヤホンをしていたことだけを理由に重過失というのは違うような気がします。
昨年12月にあった、川崎市で女子大生が右手にスマホ、左手に飲み物、左耳にイヤホンした状態で電動アシスト自転車に乗って女性と接触事故を起こし、死亡させた事故では重過失致死罪となりましたが、これだけのことをすれば重過失と言えますが、イヤホンだけで重過失とはならないはずです。

~自転車も車両!~

 いずれにしても、自転車だからといって安易に運転してはいけません。事故を起こせば車両として扱われます。自動車を運転する人は免許が必要ですが自転車を運転するのに免許は不要ですから、自らが交通法規を学習理解して運転することが必要です。自転車を起こして人身事故でも起こせば将来を失う可能性もありますし、家族に悲惨な思いをさせることになりかねません。
また、自動車であれば強制保険に加入していなければならず、ほとんどの方が任意保険にも入っています。自転車で事故した場合に賠償できるように保険に加入しておくことは絶対に必要です。一部地域では自転車保険が義務化されているところもあります。

~自転車運転手は「危険行為」だけは知っておこう!~

最後に、平成27年の道路交通法改正によって、危険運転を繰り返す自転車運転者に「自転車運転講習」の受講が義務付けられました。対象者は、14歳以上の者で、信号無視など、危険行為を3年間に2回以上摘発された者です。
これを無視して受講しなかったら5万円以下の罰金に処せられますから、逮捕される可能性もあるのです。危険運転とはどのような行為なのか、自転車に乗る方は最低限これくらいは覚えておきましょう。

1 信号無視~赤信号無視

2 通行禁止違反~標識や表示で通行を禁止している場所を通行する行為

3 歩行者用道路における車両の義務違反~自転車の通行が認められている歩行者用道路を通行する際に、歩行者に注意をはらわなかったり、徐行しなかったりする

                    行為

4 通行区分違反~車道と歩道が区別されている道路で歩道を通行したり、道路(車道)の右側通行する行為

5 路側帯通行時の歩行者の通行妨害~自転車が通行できる路側帯で歩行者の通行を妨げるような速度と方法で通行する行為

6 遮断踏切立入り違反~遮断機が閉じていたり、閉じようとしていたり、または、警報機が鳴っているときに立ち入る行為

7 交差点安全進行義務違反~信号機のない交差点で左から来る車両や優先道路等を通行する車両等の通行を妨害したり、交差点に入るときに徐行しないなどの行為

8 交差点優先者妨害等~交差点で右折するときに、その交差点で直進や左折をしようとする車両等の進行を妨害する行為

9 環状交差点安全進行義務違反等~環状交差点内を通行する車両等の通行を妨害したり、環状交差点に入る時に徐行しないなどの行為

10 指定場所一時不停止等~一時停止標識を無視して交差点に進入したり、交差道路を通行する車両等の信仰を妨害する行為

11 歩道通行時の通行方法違反~歩道の車道よりの部分や通行指定部分を徐行しなかったり、歩行者の通行を妨害しそうなのに一時停止しないなどの行為

12 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転~ブレーキ装置がなかったりブレーキの性能が不良な自転車で走行する行為

13 酒酔い運転~酒に酔った状態で運転する行為

14 安全運転義務違反~ハンドルやブレーキ等を確実に操作せず、また他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転する行為(スマホや傘を差しながらの運転など)

 

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