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東京医科大学に受験料の返還求め提訴!消費者裁判手続特例法とは?

~東京医科大受験料返還で提訴!~

「東京医科大受験料で提訴」との報道がありました。

東京医科大(東京)による不正入試問題で、特定適格消費者団体のNPO法人「消費者機構日本」は17日、消費者裁判手続き特例法に基づき、過去2年の入試で不利益を受けた受験生に対し、受験料などを支払う義務が同大にあることの確認を求め、東京地検に提訴した。同日、東京都内で記者会見し、対象は女子受験生だけで延べ約2800人に上ることを明らかにした。

特例法に基づく提訴は、法施行以来初めてということです。確かに、「女性、浪人生らには得点調整が行われ、不利益を被る」ということを隠して受験者を募集し、受験料4万円~6万円を支払わせた行為は、明らかに重要事項の不告知で受験生を騙したことになり、不法行為であることは間違いありません。

これだけで総額は約1億4千万円となりますが、請求は受験料だけではなく、宿泊費や交通費も含まれるそうです。安く見積もって宿泊費と交通費で一人5万円とすると、これも1億4千万円となります。安く見積もっても合計2億8千万円の返還が必要となります。すごい金額です。

~消費者特例法とは?~

消費者裁判特例法を簡単に説明すると、

2016年10月1日から施行された「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続きに関する法律」で、この法律では、内閣総理大臣が認定した「特定的確消費者団体」が消費者被害を集団的に回復するため原告となって、事業者を被告として、消費者に対する共通する責任があるかを審理し、個別の消費者との関係で、事業者が具体的な金銭支払い義務負うか否かの判断をする訴訟を起こすというものです。

ですから、事業者である日本医科大学が消費者である受験生全員に対して責任があるか否かを審理し、その上で、受験生全員に金銭支払い義務を負うかどうかを判断し、責任があると認められればそれを支払わせるということです。

ということは、「内閣総理大臣が認定した団体」でなければ提訴できないということで、誰でも彼でも提訴できるという「濫訴」つまり、市民グループなどの左翼団体のような団体が何でもかんでも提訴するようなことを防ぐために考えられているのです。

~受験生全員に対する返還義務があるのか?~

2800人という数の中には、合格者は含まれないと思いますが、そもそも、「女子や浪人生に対する不正採点」がなかった場合に、合格点に達していなかった受験生も含まれるのでしょうか?記事では、「過去2年の入試で不利益を受けた受験生に対し」「同法施行後の17年、18年の入試で不合格とされた女子受験生と浪人生らに対し、得点調整が不合格に影響したかどうかにかかわらず」と書かれています。

ですから、受験で有利な立場にあった現役受験生などは不利益を受けたとは言えないため対象とはされていません。女子でも浪人生などでも元々合格点に達していなかった受験生は不利益を受けたとは言えないような気がします。

しかし、「不合格に影響したかどうかにかかわらず」としていますから、何点であったかにかかわらず対象となるといことです。そもそも、「契約するに際して不法行為があったか否か」が争点ですから、受験申込書を送付して受験料を支払った時点で契約が成立するわけですから、全く合格点に達していない女子や浪人生全員が対象になるということになります。

~今後、他大学も提訴が続く!~

文部科学省は14日、東京医科大の不正入試問題を受け実施した緊急調査の最終まとめを公表した。医学部医学科を置く全国81大学のうち、女子や浪人回数の多い受験生を不利に扱うなど不適切な事案や、その可能性が高い事案を指摘した大学が10校あった。

と報道されました。この10校について、東京医科大の他、

昭和大学、順天堂大学、日本大学、北里大学、聖マリアンナ医科大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学、国立神戸大学

と公表しています。

不正入試を認めたのは、当初、東京医科大学の他に、昭和大学順天堂大学の3大学がありましたが、現在、福岡大学金沢医科大学岩手医科大学も不正を認めて6大学です。聖マリアンナ医科大学は不正を否定しています。日大は、補欠合格者を繰り上げ合格させる際に特定の受験生を優遇させていたと認めました。また、神戸大学では、過疎地の受験者を優遇していたと認めました。調査中としているのが北里大学です。

文部科学省が指摘しているのですから、明らかにおかしいと認められる大学しか挙げていないはずです。全く不正がない大学をおかしいと公表すれば文部科学省に対する名誉棄損問題にもなるわけですから。それなのに聖マリアンナ医科大学は否定し、日大と神戸大学は、見つかったから重きを隠して軽きを暴露したとしか考えられません。

~一刻も早く公表すべき!~

文部科学省からの指摘に入ってなかった大学は、胸をなでおろしながらも当然不正採点を行っている大学があるはずですから、「このまま隠し通そう」とか「もう正直に公表しよう」と葛藤している大学も少なくないはずです。

しかし、今回の特例法に基づく提訴がニュースになってからは、そういった大学は恐れて公表することがより難しくなったはずです。

しかし、隠し通した場合、後々内部告発などで不正が明らかになった時の信頼失墜は、現時点で公表した場合とは比べものにはならないほど深刻なものになるのではないかと考えられます。一刻も早く公表すべきです!

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