事件

加古川職員が上告審判決で逆転敗訴?コンビニ店員にセクハラで停職!

~「コンビニ女性店員にセクハラ行為」下級審では「同意があった?!」~

セクハラ行為が原因で受けた停職6か月の懲戒処分が重すぎるとして、50代の男性職員が市を訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は、11月6日「著しく妥当を欠くものであるとまではいえない」と判断し、男性側の請求を退けた。

1審・神戸地裁と2審・大阪高裁は「女性は終始笑顔で行動しており、渋々ながらも同意していたと認められる」などとし、男性の処分が重すぎると判断していた。

よくもこんな案件を最高裁まで持って行ったもんですね。神戸地裁と大阪高裁の判決があまりにおかしいと考えた被告である加古川市側の弁護士が訴えた結果なのでしょうか?判決文を読みましたが、下級審判決はなぜ「同意があったと認められる」としたのでしょうか?理解できません。「ちゃんと裁判をやれよ!」と言いたい。しかもこんな案件を最高裁まで上告するとは最高裁も大変です。

~事案の概要~

下級審の判決文から事案の概要をみると、

加古川市から停職6か月の処分を受けたのは、ごみ収集車でゴミを収集して運搬する56歳のオッサンです。オッサンが度々訪れていたコンビニで店で、女性従業員に対してなれなれしく接し、大きな声で話しかけたり、しばしば店の商品である飲み物を買い与えたりする一方で、手を握る、胸を触る、男性の裸の写真を見せる、胸元をのぞき込み「乳硬いのう」「乳小さいのう」「制服の下何つけとん」「胸が揺れとる。何カップや」などと発言していた。これを嫌がり退職した店員もいた。

コンビニのオーナーはこの様な言動があったことを従業員から頻繁に報告を受けていたが、商売に差しさわりがあると考えて問題にすることはなかった。

被害に遭った女性従業員は、高校生であった頃からこのコンビニ店でアルバイトをしていたが、卒業後の平成23年から昼間に勤務することとなり、オッサンと顔見知りになって店の商品を買ってもらうこともあった。平成26年9月30日午後2時30分頃、オッサンは、この女性従業員に「飲み物を買ってやるよ」と商品を選ぶよう指示し、左手を女性の右手首に絡めて並んで歩き、女性従業員が商品を手に取った。その後も腕を絡ませて歩き出したが、他の客とぶつかりそうになったため、店員が「あ、ごめんなさい」と言った直後、オッサンは、店員の左手首をつかんで自分の股間に軽く接触させた。オッサンは「どこ触りよるねん」と、店員は「いや、いや、いや」と言いながら手を振りほどいてスタッフヤードに逃げ込んだ。

というものです。それまで事を荒立てたくなかったオーナーがこれはひどいと思い、加古川市に訴えたのです。オッサンは、故意に店員の手を股間に触らせたことを否認し、たまたま偶然にあたったと反論していたのです。防犯カメラにははっきりと写っていなかったのでしょうか?

これを受けて、加古川市がオッサンに対して停職6か月の懲戒処分をしたのですが、このオッサンは「処分が重たすぎる」と市を相手に訴えを起こしたのです。

~神戸地裁、大阪高裁は「同意があった」と判断!~

第1審の神戸地裁と第2審の大阪高裁では、

女性が終始笑顔で行動しており、渋々ながらも同意していたと認められる

として、停職処分を取り消す判決を出したのです。「女性が同意していた」ということは、オッサンが故意に店員の手を引っ張って股間に持って行った行為は認めているということになります。ただ、店員も終始笑顔だからそれほどには嫌がってなかったという判断をしたのです。これが裁判官の非常識なのです。

女性店員がいつも来店してセクハラ行為をするオッサンに「また来た」と思い、嫌がったとしてもそれを顔に出すことはできませんから当然、どの客に対しても笑顔で接するはずです。そして、飲み物をおごって欲しくはないけれども断って、オッサンが腹を立ててはいけないと思い、飲み物を取りに行ったのでしょう。

このオッサンはいつも女性店員が笑顔で接してくれるから「脈あり!」と勘違いしていたのでしょうか?飲み物を取りに行くにもオッサンがついてきて、その間もオッサンが腕を絡めてくるのです。女性店員はまだ20歳代です。とても気持ち悪いと思いながらも嫌がれば何をされるか分からないという恐怖心や不安から笑顔を絶やすわけにはいかなかったのです。

そして、オッサンから腕を引き寄せられて股間に触れさせられたので、驚いて逃げたのです。これを終始笑顔だったから同意していたとはどういうことなのでしょうか?明らかに一般常識とはかけ離れた判決としか言いようがありません。

~悪いのは裁判官だけではない!~

ハラスメントに対する女性の笑顔をどうとらえるのかで判断が変わってきますが、それだけではありません。この事件にはいろいろな問題が包含されています。度々女性店員たちがこのオッサンにハラスメントを受け、それを知りながらオーナーが放置していたことが問題なのです。商売を優先するため女性従業員たちの労働環境を改善しようとする意識がないオーナーは労働者を使う資格がないとさえ言えます。

こんなオーナーや店長だから、従業員も会社のため、店のために頑張ろうとは考えないし、従業員による不適切動画などが躊躇なくアップされるのです。早くこの様なオッサンの嫌がらせを警察に相談していれば、オッサンのセクハラもここまでエスカレートすることはなかったような気がします。

次に悪いのは加古川市です。当然公務員の幹部たちです。これが兵庫県迷惑防止条例に規定する「人に対して不安を覚えさせるような卑猥な言動(6月以下の懲役または50万円以下の罰金)」にあたることは明白ですし、暴行脅迫を用いてわいせつな行為をすれば「強制わいせつ罪」にも該当します。おっさんが女性店員の腕をつかみ、自分の股間に引っ張る行為は明らかに有形力の行使であり、暴行になりますから「強制わいせつ罪(6月以上10年以下の懲役)」に抵触します。

公務員は犯罪があると思料するときには告発する義務があるのです。この件をコンビニ側から伝えられた時に警察に告発していれば警察は捜査し、犯行を否認している被疑者を逮捕して最低でも条例違反で検挙できたはずです。そうすれば白黒はっきりしたはずなのに、やはり単純労働職員でも市職員ですから、これが報道されれば市民からの批判を受けることになり、保身から告発を見送ったのではないかと思われます。

最終的に最高裁で加古川市の懲戒処分が正当であったと認められたのですが、たった半年間の停職期間です。もうすでに期間は終了しているはずですから、この職員は職場復帰をしているのではないでしょうか?こんなオッサンですからまた同じようなことを繰り返す恐れが高いと思われます。警察の捜査で強制わいせつ罪で有罪判決を受けていれば免職処分できた可能性が高かったのにと悔やまれます。

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