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津谷弁護士殺人事件(秋田)とは!犯人は?遺族の逆転勝訴はおかしい!

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~津谷弁護士殺人事件県に賠償命じる判決~

2010年秋田市内で発生した弁護士に逆恨みした男が弁護士宅に押し入り弁護士を殺害した事件。殺害された弁護士の名前は津谷裕貴(つやひろたか・当時55歳)さん。殺人犯の男は菅原勝男(66歳・無期懲役)

津谷弁護士の遺族が国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、仙台高裁秋田支部であり、山本剛史裁判長は一審・秋田地裁判決を覆し、警察官が男を侵入者と識別し、津谷弁護士に加勢していれば、男を制圧して逮捕できた可能性が高いなどと認定。警察官が安全保護義務に違反したとして、秋田県に賠償を命じる逆転判決を言い渡した。

この判決は、やはり世間知らずの裁判官の判断だと考えます。遺族感情を考えればこの判決を擁護する人も多いでしょう。しかし、今後の警察活動に影響を及ぼす判決となる可能性があり、警察の110番対応にも影響が出るおそれがあります。

~津谷弁護士殺人事件とは!~

津谷弁護士

2010年11月4日午前4時頃、津谷弁護士の妻から110番通報。秋田県警通信指令課は、妻が動揺しており内容が把握できず、「けんか口論」という内容で無線指令を行った。最初に到着した秋田県警機動捜査隊の警察官2人が現場である津谷さん方に入り、拳銃を所持していた津谷さんの両腕を押さえた。津谷さんは「俺は犯人じゃない、こいつだ」と叫び、妻も「あっちが犯人よ」と叫んだ。菅原は、そのすきをついて、凶器として別の部屋に置いていた剪定はさみを持ち出し、津谷さんの胸を2回ついて殺害した。

菅原は、元妻との離婚で財産を盗られたことで、元妻の弁護人だった津谷さんを逆恨みして殺害するために拳銃や剪定はさみなどの凶器を用意し、津谷さん方に侵入したが、津谷さんともみ合いになり、津谷さんに拳銃を奪われたところへ警察官が到着した。

菅原受刑者

当時の新聞やニュースでこの事件を知りました。まず、110番通報の内容では何が起きているか把握できないまま、警察官2人は津谷さん方に入りました。そこで、1人の男性が拳銃を持って立っていたのです。室内には他に60歳を過ぎた男と女性がいました。誰でもまず拳銃を持っている男にとびかかり、拳銃を取り上げることを考えるはずです。この警察官もそうだったのです。

津谷さんが、警察官に直ちに「この男から取り上げたけん銃です」と言って渡していればどうだったでしょうか?その一言で、けん銃は警察官に渡り、警察官は初老の男が犯人だったのかと考え、2人を分離して事情聴取を始めたと考えられます。そうなれば菅原が凶器を取り津谷さんを殺害することはできなかったはずです。津谷さんは心の中で、到着した警察官がすぐに犯人を取り押さえてくれるのだろうと拳銃を持ったままだったのです。

~1審判決は「警察官を非難できない」と擁護!~

事件後、津谷さん遺族は、警察官が津谷さんを犯人と間違えて取り押さえていなければ殺されることはなかったとして秋田県と菅原に計約2億2300万円の国家賠償と損害賠償を求めました。秋田地裁斉藤顕裁判長は、菅原に賠償を命じましたが、県への請求は退けました。裁判長は、

当時の状況に照らすと、警察官が津谷弁護士を侵入者と認識したことを非難することはできない

として、現場の対応に違法性はなかったと指摘しています。

ただ、

秋田県では凶悪事件の発生が少なく、日頃から本件のような突発的な事案に対応することができるだけの訓練や意識の涵養が十分でなかったことから、現場で適切に対応することができなかったと考えられる

と警察官個人ではなく県警の体制の問題だと指摘したのです。

裁判長の言う通り、けん銃を所持している津谷さんを取り押さえた点については誰にも非難できないはずです。警察官は国民の生命・身体・財産を守る責務があるのは当然ですが、現場にはいろいろな場面があります。警察官は日頃どのような場面に遭遇しても適切な職務執行ができるように日々訓練・鍛錬しています。しかし、警察官はスーパーマンではありません。

どんな場面の現場においても短時間に的確な判断をしようとする努力はしますが、全て対処できているわけではありません。それは秋田県警だけではなく、凶悪事件が多発する警視庁や大阪府警などの警察官でも同じです。裁判官は平穏な秋田県警の警察官だから適正な判断ができなかった主旨の発言をしていますがそれは間違いです。この様な発言を見るとやはり裁判官は常識に欠けると言わざるを得ません。

警視庁等の多数の修羅場を経験した警察官だったら拳銃を所持して立っていた津谷さんを取り押さえなかったのでしょうか?そんなことは絶対にありません。人を簡単に殺傷できるけん銃を持っている男からけん銃を奪取し、現場の危険性を除去させることをどの警察官でも考えるはずです。ですから、津谷さんを取り押さえた警察官を非難できないというのは同感です。

~国家賠償とは?~

国家賠償法第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

と規定されています。警察官は過失によって、けん銃を所持していた津谷さんを取り押さえたのでしょうか?そうではありません。先ほども述べたように誰でも拳銃を所持している者を取りさえるはずですから、これを過失とは言えないはずです。

過失とは、未だ現場の状況が呑み込めていない警察官が、菅原の行動を制止せずに剪定ばさみを取りに行かせ、津谷さんを殺害する自由を与えたことだと思います。そういう意味では警察官に過失はあったと認定できると思います。

しかし、それが「違法に損害を加えた」と言えるのかが問題です。違法かどうかは法規違反だけではなく、裁量権の乱用や社会通念上客観的に見て正当性を欠いている場合も含まれるのです。判例では警察官が、ナイフを所持して暴れている人のナイフを取り上げて保管しなかったとことが賠償の理由にもなっているのです。

ですから、津谷さんを取り押さえている警察官2名が菅原の行動を制限できなかったのは違法とまではいえないと考えるべきです。結論でいえば、第1審判決の方が正当と考えられます。

~仙台高裁秋田支部の判決は事後的な目線!~ 

仙台高裁秋田支部山本裁判長は、

「警察官2人が駆け付けた際、津谷弁護士の生命身体の危険が一時的に低減した状況だったが、警察官の対応によりその危険を増加させ、弁護士殺害という結果に至ったものであり、警察官の対応は客観的にみて失態を重ねて最悪の事態を招いたと評価せざるを得ない」と警察官の過失を認定した。その上で「警察官2人が津谷弁護士を安全な場所に誘導していれば、殺害には至らなかったことは確実である」と述べた。

けん銃の暴発防止などを理由に誰が侵入者であるかを確認せず、菅原受刑者から奪った拳銃を持っていた津谷さんを取り押さえようとした警察官の対応を「事態を把握しないまま制圧行為に出ることは津谷さんらの生命に危険をもたらす可能性がある」と指摘。「当事者を識別せずに拳銃を取り上げようとするのは誤りで、まず識別の問い掛けを発するべきであった」と判断した。

と判示しています。

事後的に「そうすべきであった」というのはたやすく、誰にでもできることです。しかし、当時、誰が考えてもそうしていたのかということや当時そんなことができたのかなど、当時の現場での判断ということで判決を示さなければならないのです。

この裁判官が警察官として現場に赴いたとしたら、けん銃を持って立っている男に対して「何があったのですか?」「犯人はあ誰ですか?」とのん気に聴取できたというのでしょうか?もし、けん銃を所持していた津谷さんが犯人だったら、警察官まで撃たれて死んでいたかもしれません。

~秋田県は最高裁へ上告すべき!~ 

津谷さんの弟の聡さんという方が、

スウェット(寝間着)姿の兄の格好を見れば、犯人ではないと分かったはず

と主張しています。服装を見て犯人がどちらかなんて現場で瞬時に判断できるはずはありません。遺族感情としてはわからなくもありませんが、服装だけで犯人か否かを判断しろというのは無茶な話です。

この判決が確定すれば今後の警察官の現場対応に悪影響を与えると思います。この事件の際も、他のパトカーなども現場に急行していたはずです。しかし、最も早く現場にたどり着いたのがたまたま機動捜査隊員だったのです。この様な判決が確定し現場でミスを犯すことで県に賠償請求までされては「こんなことは御免だ。真っ先に現場に行くのはやめよう。自体が沈静化してから現場に入ろう」と考える警察官が増えてくる恐れが懸念されます。

警察官が職務執行に対して臆病になり、いち早く現場に駆けつけていれば市民を守れた事件でも、「いち早く」を避けるためにわざとゆっくり現場に駆け付けるようになったらどうなるでしょうか?警察官としての責務は果たせなくなります。そう考えると今回の仙台高裁の判決は間違っていると感じます。

実際の現場で警察官が取りえた職務執行は何だったのかを事後的ではなく、現場目線で考える裁判を望みます。秋田県警は必ずや最高裁への上告をすると信じています。

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