~「潔さ」のかけらもない~
福岡県警の元警部補らが宴会中にセクハラ行為をし、強制わいせつで訴えられた事件、覚えていますか?
職場の飲み会で部下の女性警察官にわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた、ともに福岡県警元警部補の於保(おほ)重信被告(60)と枝尾光博被告(59)の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。鬼沢友直裁判長は、於保被告を懲役1年4月、執行猶予3年、枝尾被告を懲役1年6月、執行猶予3年とした1審・福岡地裁判決を支持し、両被告の控訴を棄却した。
とうとう2人の判決が確定しました。この事件は、
2015年9月18日夜、福岡市内の飲食店で、被告らが所属していた留置管理課の職員16人が参加した飲み会で、於保被告が女性警察官を羽交い絞めにして引き倒し、枝尾被告が女性の両足を広げ、自分の股間を押し当てたというものです。
この2人は強制わいせつ罪に問われました。しかし、公判で弁護側は、女性の両足を広げたことは認めましたが、股間を押し当てた行為を否定しました。また、この行為について「冗談でやった宴会芸、セクハラではあるが、わいせつ行為と評価できない」と言って無罪を主張したのです。
~絶対に有罪にはなれない理由があった!~
元警部補らは懲戒処分の内、上から2番目に厳しい、停職処分を受けています(懲戒処分~免職、停職、減給、戒告)。この2人の他にもわいせつ行為を手助けしたとして男性巡査長を減給3カ月(10分の1)、その様子をスマートフォンで撮影した男性巡部長を本部長訓戒の処分としたのです。
2人の被告は無罪を主張していたのですが、宴会では周りにたくさんの上司や同僚がいたのですから、皆が見ていたはずです。当時、飲み会に参加していたうちの警察官1人が裁判で検察側の証人として出廷し「(於保被告らの行為は)宴会芸ではなく、やり過ぎだと思った」と証言していますからいくら無罪を主張してもどうにもならないことは分かり切っているはずです。
しかし、定年を間近に控えていた於保被告と枝尾被告には有罪となってはならない理由があったと想像できます。それは退職金の問題です。事件発覚後は、セクハラ行為ということでの懲戒処分でした。
しかし、その後強制わいせつ事件の被疑者となり、被告人となったのです。有罪となっていれば懲戒免職処分になったことは間違いないでしょう。そうなれば長年働きながら積み立ててきた退職金は1円ももらえなくなります。
停職処分を受けて2人は依願退職をしましたが、退職金は払われていなのじゃないかと思われます。事件の裁判で有罪判決が出れば当時にさかのぼって懲戒処分相当となるはずですから、支払えなかったと思います。もし、支払っていたのだとすれば、全額返還させられるはずです。
2人の被告には当然家族もいるでしょうから、そうなってはたまりません。事件になって以降、2人は弁護士を通じていくらかの金額を提示して被害女性警察化に対して示談を持ちかけたはずです。何度もそうしたはずです。しかし、被害女性は受け入れなかったのだろうと推測できます。
有罪になっても執行猶予付き判決ですから、前科がつくというだけでさほど困らなかったとは思いますが、有罪になって退職金が1円も入ってこないということになればそれは最悪の事態ですからそれだけは避けたかったのでしょう。
~同席していた者たちに処分を!~
被害を受けた女性警察官は、証人尋問で「何度も『やめて下さい』と叫んだのに、誰も助けてくれなかった」と訴えたのです。女性警察官が押さえつけられてセクハラ行為をされているのに、周囲の職場仲間は笑ってみていたのでしょうか?それとも知らん顔をしていたのでしょうか?そこが疑問です。
このセクハラ行為をスマートフォンで撮影していた警察官もいたのです。この警察官が本部長訓戒という懲戒処分ではない軽い処分で済んだことが不思議です。
千葉県野田市で起こった栗原心愛(みあ)さん(10歳)を父親が暴行して殺した事件を覚えていますか?この事件で父親の勇一郎容疑者が暴行する様子を動画撮影していた母親のなぎさ容疑者(31歳)も共犯として逮捕されたというニュースがありました。
これを考えれば、スマートフォンで撮影していた警察官も共犯となるのではないでしょうか?羽交い絞めにして倒した於保被告と女性警察官の股間を広げて事故の股間を押し当てた行為は、2人が互いに1つのわいせつ行為を行うために協力して犯行を成し遂げた共犯であることは間違いありません。
しかし、これを助けもせずにスマートフォンで動画撮影した行為は、動画撮影されていることを認識していた2人の被告が「みんなが喜んでいる」と思って行為を継続した可能性もあります。動画撮影した警察官だけでなくこの様子を見ながら笑って喜んでいた奴らも共犯関係にあると言われてもおかしくないと思います。共犯は無理だとしても「その犯行を助長させた」という幇助行為には十分当たると考えられます。
酒席に参加した職員らがどんな連中か明らかになっていませんが、留置管理課長など警視や警部がいた可能性もあります。福岡県警はこの連中を処分しなければ事件は終わらないと思いますし、被害女性の心の傷は一生いやせないと思います。