事件

職務質問は拒否できる?精神的苦痛で訴え敗訴に?「不当だ」は変!

~江添亮さんって何者?~

世の中には「本をたくさん読んでいるから頭がいい」と勘違いしている人がいるんだなと思いました。警察官からの職務質問を受けて精神的苦痛を受けたと言って165万円の国家賠償請求訴訟をした江添亮(32歳)さんとかいう人の話です。当然のこと、東京地裁は警察官の職務質問を適法とする判決を出しました。

この様な人種は昔からいたのですが、最近特に増えてきたのではないかと感じています。特に子供の頃から家の中でパソコンをいじったり、ゲームをしたり、小説や漫画を読んだりすることに幸せを感じて、スポーツしたり友人と遊んだりすることを避ける、いわゆるオタク系の人間なのかなと勝手に思います。

江添亮さんという人は、何でもエンジニアで自由ソフトウェア主義者ってWikipediaで出ていましたが自由ソフトウェア主義者って何?どんなソフトウェアも自由に誰でも使えるべきということなのかな?よく分かりません。でも、Wikipediaに出ているんだから有名な人なんですね。

江添亮さんのブログ「本の虫」2017-07-04を読んで見ました。

~江添さんの主張~

7月の暑い日、江添さんが5キロの荷物を背負って徒歩で通勤していたところ、3人の警察官から職務質問を受けた。「荷物を見せて下さい」と言われたが義務がないからと断り続け、出社のために警察官をかわして歩こうとすると、警察官が前に立ちはだかり往来妨害された。警察官に名前などを明らかにするよう要求したところ警察手帳を提示した。江添さんも「予備自衛官手帳」を提示した。

警察官の往来妨害が激しくなり、警察官が「公妨だ」「あっ、拳銃に触った」などとわざとらしく声をあげた。パトカーが到着し警察官の数が増えた。その後、通行の邪魔になるからと駐車場に移動させられた。往来妨害は犯罪だなどと言ったが警察官は法律にない用語を使ってかわした。また、「受忍義務がある」などと聞いたこともない言葉を使った。「受忍義務」の法的根拠を示せと言ったが示さなかった。

真夏にこの格好?怪し過ぎ~

警察官が、江添さんが下を向いて歩いていることが怪しいと言って職務質問を開始したが、下を向いて歩いていけないという法律はない。警察官は、「職務質問を回避しようとして大声をあげたことが怪しい」と言い出した。警察官は執拗に所持品検査をしようとするが義務がないと言って断り続けた。

マイナスドライバーを持っていただけでピッキング用具として軽犯罪法で捕まった事例を知っているから、所持品検査をされれば何が出てくるかわからない。法律は無数にあり、すべての法律に抵触しないなど無理な話だと考えた。私は警察官職務執行法を全て読んだことがあるからこの職務質問は違法だ。最終的にリュックの上から触って調べることで話がつき、解放された。職務質問は2時間続いた。

との内容が書かれていました。一言で言って「クレーマーと同じだ」と感じました。実際には江添さんは、職務質問を回避するために牛丼チェーン店に入ろうとし、警察官に制止されたため、店員に110番通報するように依頼したが断られたとのことです。しかし、江添さんのブログにはこの部分が省かれています。

多数の警察官に職務質問される中、一般人に向けて110番してくれというのは警察官側からすれば怪しいと思って当然でしょう。携帯電話も持っていなかったのでしょうか?自分で110番くらいすれば済む話です。

~なぜ、所持品検査を拒否し続けたのか?~

クソ暑い中2時間も警察官の職務質問につきあう必要はないでしょう。出勤途上なんですからすぐにカバンを開けて見せれば3分で終わり、会社に行けたはずです。何故そこまで頑なに警察官の職務質問を拒み続けたのでしょうか?答えは簡単です。ブログにも書かれているように、5キロの荷物の中に違法と言われるものが入っているかもしれないと思っていたからでしょう。

法律は無数にあって、自分の所持品が全てその法律に引っ掛からない可能性は低いと考えたからでしょう。警察官は正にそのような、何かの法律違反に抵触するようなものを所持していないかどうかを確認するために所持品検査をしているのです。ですから、例えば刃物が入っていて、銃刀法違反で捕まらないかとか、軽犯罪法違反で捕まらないかという不安があったから拒否したということなのでしょう。

そうであれば、職務質問をしていた警察官は江添さんの「ひょっとしたら違反がバレるかもしれないから逃げよう」とした態度を感じたのかもしれません。自分が違反になるようなものを持っているはずはないと確信していれば荷物を見せることはできたはずです。

所持品検査ががプライバシー権の侵害と言っていますが、警察官だけに見られる行為です。プライバシー権とは一般的に「私生活をみだりに公開されない権利」とされています。警察官が通行人の前で江添さんの荷物を並べるようなことをしない限り、なんらプライバシーが侵害されたとは思えません。警察官にも見せられない恥ずかしものを持っていれば別ですが…。

~江添さんの間違い~

職務質問を回避しようとする江添さんを警察官が前に立ちはだかる行為が往来妨害罪になるというのは違います。往来妨害罪は道路や橋を損壊又は閉塞した場合に成立する犯罪です。人が立ちふさがっただけでは成立しません。

「警察官職務執行法を全て読んだから全部理解している」ということは考えられません。条文だけでは理解できません。条文の解説や判例などを勉強しないと理解できる法律ではありません。

「マイナスドライバーを持っていただけでピッキング用具で軽犯罪法で捕まった」という話ですが。軽犯罪法とピッキング法(特定開錠用具の所持の禁止に関する法律)は別個の法律ですからみそクソ一緒にしているようです。

またマイナスドライバーを所持していただけでは軽犯罪法違反になることはありません。どちらの法律も「正当な理由」があって所持しているのであれば罪には問われないのです。「正当な理由」とは「仕事で使う」や「修理をするため」などです。そんな理由もなく「何かあったら使うため」や「理由はない」などと答えれば正当な理由がなかったということになります。

~職務質問の必要性~

刃物でもそうですが、「料理人が刃物を持ち歩く行為」や「刃物を研ぎに出すために運ぶ行為」は正当な理由です。それを「自己防衛のため」とか「特に理由はない」と答えればそれは法律違反になります。

警察官は、逃走した犯人を捜して捕まえるための他、治安維持のため、犯罪を防ぐためにも職務質問を行っているのです。現実に国内で通り魔的な傷害事件や殺人事件が起きています。それを予防することはとても困難です。通り魔的な犯人が凶器を人目に付くように晒して所持しているはずもないわけで、当然隠し持っているのです。

それを未然に防止するためには、職務質問によって通行人全員の所持品検査をすることが有効でしょう。しかし、そんなことは不可能ですから、警察官が怪しいと感じた者だけを対象に職務質問を行い、所持品検査をしているのです。

もし、日本国民全てが警察官の職務質問に協力すれば、突然凶器を振り回すような犯罪は完全に防げるのです。しかし、国民の中には犯罪を犯そうとしている者もいますから全員に協力を求めても無理です。少なくとも善良な市民は協力するべきです。そうすれば、警察官も、よりたくさんの不審者に職務質問することができ、少しでもそういった犯罪を抑止できるのです。

~「受忍義務」について~

ブログには「受忍義務」という言葉が出てきますが、「聞いたこともないから法律用語でもない」などと自分の知識が完璧だという考え方のようですが、風俗営業の立ち入りや森林法の立ち入り等では、立ち入りを受ける側には「受忍義務」があるとされています。

職務質問に関する「受忍義務」というものは法律の規定はないと思いますが、もし、日本国民全てが江添さんの様に「義務はない」と言って職務質問を拒否したらどうなるでしょうか。日本の治安は守れるのでしょうか?

~警察官の職務質問は妥当~

真夏の暑い日に大きな荷物を担ぎ、日よけのために大きな帽子をかぶり、警察官がパトカーを見て目をそらしたと感じた男。そして、その男の顔つき。警察官が「あの大きな荷物には何が入っているのだろう。ちょっと確認してみよう」と考えて職務質問を開始しました。この時点で警察官職執行法に規定する「合理的に判断して怪しい者」に該当するか否かははっきりとはしません。

しかし、職務質問を開始してこれを頑なに拒否する行為、逃げようとする行為、大声を出す行為など、警察官からすればどんどんと不審性が高まっていきます。不審性が高まった後に、拒否されたから職務質問を切り上げようと考える警察官がいたら警察官としては失格でしょう。

不審性が高まれば所持品検査を最後まで遂行し、犯罪があれば検挙し、そうでなければ潔白であることを明らかにして「ご協力ありがとうございました。」とお礼を述べて終わる。これが理想形であると感じます。江添さんは自分のことしか考えていません国家の治安を守るためには国民の協力が欠かせないはずです。

個人の権利である基本的人権は確かに憲法で保障された権利です。しかし、憲法は「公共の福祉のために利用する責任を負う」とも規定しています。「今のの日本人は権利ばかりを主張する」という声がよく聞かれますが、人権にも制約があることを忘れてはならず、国民の責任を果たすことも考えなければならないと思います。

 

 

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