~アスリートの告発に疑問を?~
レスリング57キロ級の東京オリンピック代表川井梨紗子(25)が石川県レスリング協会下地新悟会長の”暴言”と”嫌がらせ”を告発したニュースが話題になっています。
アスリートによる告発はいつまで続くのでしょうか?
思えば日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で内田正人監督と井上奨コーチを告発した宮川泰介選手に始まり、日本体操協会の副会長塚原光男と強化本部長の塚原千恵子を告発した宮川紗江選手。
全日本テコンドー協会の金原昇会長を告発した江畑秀範選手などに加え、アスリートの告発ではありませんでしたが日本ボクシング協会山根明会長の不正疑惑問題や日本レスリング協会栄和人強化本部長による伊調馨に対するパワハラ問題など。
次から次へとアスリートVS指導者の問題が出てきます。
若いアスリートによる指導者に対する告発については、一時的には国民はアスリートが可哀そうだと思う感情が先に立ち、アスリート側の主張を信じてしまうのです。
しかし、宮川泰介選手の問題も捜査機関は監督やコーチによる強要はなかったと結論付け、宮川紗江選手も協会から反省文を書かされるなど、結果的には選手の主張が虚偽に近い思い込みによるものだという結果に落ち着いたのです。
しかし、告発された側の監督やコーチ、協会指導者は悪のレッテルを貼られたままの人生を強いられているのです。
何が言いたいのかと言えば、告発したアスリート選手の主張を鵜呑みにした報道をマスコミがすることで国民がそれを全て信用してしまう風潮があるということです。
マスコミは、人を叩く記事を書くことによって国民が面白がる。そのニュースがワイドショーで取り上げられ更に話題性が増す。
国民が興味を持っているからという理由だけで未だ何が真実か分からない段階で記事を書きまくり、ワイドショーがこれに乗っかって一方的に告発された人を叩く。
国民の関心がなくなった後にそれが真実でなかったとしても訂正の記事や謝罪はしない。マスコミによる金儲け主義の報道が続いているような気がするのです。
~なぜそんな場所で告発するの?~
川井選手は、金沢市で開催された石川県スポーツ特別賞贈呈式に出席し、セレモニーが終了した後のインタビューの際に下地会長を告発したのです。川井選手は、
(会長は)川井家には関わりたくないと言っていると聞いたことがあるので、こういう授賞式にも顔を出さないと思う。連絡もいただいたこともない。おめでとうとかもない
今月中旬に同県で行われた全国高校選抜北信越大会で、下地会長が、「石川県には五輪内定者が2人います。しかし、残念ながら女です」という発言があったと聞いた。悲しかったし、五輪出場が祝福されていないのかと思った
と発言しています。しかし、このセレモニーは石川県が開催した授賞セレモニーです。
当然石川県レスリング協会も川井選手への授賞を支持して県に進言しているはずですから、感謝の意を表さなければならない場所です。
なぜこの機会にこんなことを言うのかって疑問ですね。
川井選手が協会に不信感を持っているのであれば受賞辞退もできたわけです。受賞した後に言うことではないような気がします。
また、川井選手は「言っていると聞いたことがある」って言ってますが、自分で確認したことでもない伝聞をなぜ真実であるかのように言うのか不思議ですし、「残念ながら女です」発言については、この現場に「県高体連専門委員長を務める父・孝人さんもいた」ということですからこの発言を川井選手は父親から聞いたということなのでしょうか?
しかし、下地会長は、「そんなことはひと言も言っていない。事実無根」と完全否定しています。
試合会場で発言したのであれば、試合に参加した他の人も聞いているでしょうから言ったか言ってないのかはいずれ分かることでしょう。
国民の前で他人を告発するのであればしっかりと証拠を押さえてするべきです。
川井選手は会場にいた第三者から確認したのでしょうか?
川井選手の家族は以前からこの会長に不信感を持っていたようですから父親から聞いただけで川井選手が真実かどうかを判断したのであれば浅はかというしかないように思います。
~子供のための募金?~
またこんな告発も
今回の話だけじゃなくて、リオの時から親に対して嫌がらせみたいなことがされていた。耐え切れなかったですね。リオ出場の時は壮行会も開いてくれなかった。激励会では会長が両親の前で「トビが鷹を生む」とあいさつしたり、母・初枝さんが募金箱を持たされて激励会の費用などを集金したりしたこともある
う~ん、確かに両親の前で「トビが鷹を生む」なんて言葉は常識があれば言いません。
しかし、この言葉は「ダメな奴が凄い奴を生む」という意味ではなく、「平凡な人が凄い子を産む」という意味ですから親をバカにしている言葉ではないのです。
「まあすごい子どもができたね」という意味を使い方を間違った感はありますが、そんな失敗は誰でもあります。
また、娘の激励会の募金を持たされた母・初江さんは、「残念ながら本当です。募金箱も持ちました」と話したというのですが、娘のために募金箱を持つことなんか、甲子園出場が決まった高校球児の親でも、全国大会などに出場するスポーツ選手の親たちは苦労をいとわず皆がやっていることです。
娘のために募金箱を持つことが「残念」って「いったいどんな親なの」って思いますね。
私が川井選手の親なら喜んでやっていると思いますね。
川井選手の親が、下地会長に反感を持っていることについて娘の川井選手に常々、不満を漏らしていたのかもしれません。
最近の親が子供に、学校の先生をバカにするような発言をすることによって子供が先生の言うことを聞かなくなというのと似ている気がします。
~告発は今じゃない!~
川井選手は、伊調馨に勝つことができなくて階級を変えたりしながら「いつか伊調を倒したい」と思いながらレスリングに取り組んできました。そしてこの度、伊調選手を倒して東京オリンピック出場を決めたのです。
あと1年を切ったオリンピックです。国民の応援を受けて活躍して欲しいという思いも今回の告発でふっトビました。
黙ってオリンピックで金メダルを目指して欲しかった。
そしてオリンピックが終わった後に不満を持っていた下地会長に対する抗議を行えばよかったのに…。なぜ今なのでしょうか?
川井選手は
ずっと我慢していました
と言いながら告発をしたのです。
アスリートは体力や運動能力だけでは大成しません。この上に精神力や集中力そして賢さがなければ一流アスリートにはなれません。
オリンピックで金メダルを取るような選手ならば、これくらいのことを「我慢できない」なんて甘すぎる気がします。
こんなことをワイドショーで取り上げられて平常心を保てなくなることの方がアスリートとしてモチベーションを維持できなくなる恐れが出てくる気がします。
せめてオリンピックが終わるまでは我慢すべきだったのではないかと思います。
さらに川井は、下地会長の県協会の”私物化”も指摘。「母が教えているジュニアクラブの教え子を国体に出さないこともあった。(会長が)『気に入らない人はクビにする』などいろんな話も聞いている」と明かした。
また「聞いている」という伝聞です。
両親から聞いたのでしょうか?
本当に会長による”私物化”を批判するのであれば娘ではなく、両親が自身で協会に抗議すべきことです。
オリンピックメダリストの娘を使ったのか、娘が勝手にしたことなのかは分かりませんが、親として娘にさせるべきことではないはずです。
~会長もふてぶてしい老害おじさん!~
私の思いを書いたら、川井選手の批判ばかりになりましたが、このニュースを深く読むとやはり違和感が先に来ます。
でも下地会長を見るとやはり、これまでの告発を受けた指導者たちと同じふてぶてしい老害おじさんです。
大体、ワンマンになる人のタイプというのがあるのかもしれませんが、このオッサンもモノの言い方が悪すぎますね。
批判されて腹を立てていたのも分かりますが、テレビに映ることを知りながら、
いちいち反論しても泥仕合になるが、リオの時も100万円近くのお金を渡しているのに、帰ってきて「ありがとうの」ひと言もない。金メダルを取った後の祝賀会も、母親から「いりません」と言ってきた
との反論です。
下地会長は前出の「残念ながら女です」発言については
誰から聞いたか知らないが、事実無根の話。五輪に出られるなんて、男女関係なく名誉なこと。ましてや姉妹で出られるんだから
と言っています。真っ当な反論です。「壮行会も開いてくれなかった」に対しては
何を言っているんだ。3年前に壮行会開いて金まで渡してる。オレはとにかく県の壮行会の時にあいさつして募金箱に1万円入れてやった。リオでがんばって金メダルとってこいって、そんなあいさつまでしとる
と話したのです。
壮行会開いたら、川井選手も出席しているでしょうから開いてくれていないという川井選手の主張と、開いたという会長の主張はなぜ180度違うのでしょうか?
何が理由でこんなことになっているのでしょうか?
確かに会長の横柄な態度と話し方には違和感を持つ人もいるでしょうが、どうも川井選手の両親と会長とのそりが合わず、川井会長の悪口を聞いた娘が告発したという図式に見えます。